僕と吃音との距離。②
吃音を自覚始めたのは小学1年生の頃。
もちろんこの時は「吃音」という名前は知らない。
普段喋っている友達からひとつの質問をされた。
「なんでよっし〜ってそんな話し方なの?」
小学1年生のなんとも純粋な質問だった。
その時、僕自身もちゃんと気づいていた。
【人と喋り方が少し違う】
理由、原因なんてもちろん分からない。
身体は健康そのもので、体調が悪い訳でもないから、病気では無いだろう。
小さな頭ではそれくらいしか考えられなかった。
僕はその質問がやってるくる度に、
「なんだろね?生まれつきこーなんだよね〜」
と、誤魔化していた。
仕方ない、そうするしか無かったのだから。
その時から気づいたことはいくつかあった。
歌は何故かスムーズに歌えた。
だから歌は大好きだった。
身体の健康も問題なかったから、友達とも沢山遊ぶし、仲いい友達は沢山いた。
いじめもなかったし、大丈夫だった。
はずだった…。
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しばらくして、算数の授業で、辛い経験が待っていた。
単語帳に書かれた計算式。
足し算、引き算、掛け算、割り算。
簡単なものを計算して答えを言って、そのタイムを測る。
家で練習して、目標のタイムを切ったら合格。
算数は好きだったので、計算自体は難しくて九九のレベルだったし、問題なかった。
吃音がなければ。
答えなんて1秒しないうちに頭にポンと出てくる。
でも、答えを吐き出す口が動かなかった。
息が詰まって、焦って、 その不安で頭いっぱいになった。
家でやる練習の時点で、目標タイムを切る事が出来なかった。
母親は吃音なんて知らなかったので(僕だって知らない)、計算が遅い僕を心配していた。
僕は初めて吃音が原因で泣いた。
𓃰続く𓃰